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洋服の生地には地の目があります。タテ地とヨコ地が直角(90度)になっているものを「他の目が合っている」といいますが、大量生産が前提の既製服では、地の目を合わせることを重視していません。つまり、既製服は地の目が狂っているものが多いということです。これを知らずに既製服の補正はできません。狂った地の目は最後のプレス工程によってきれいに仕上げられ、完成します。ゆえに、既製服の補正では、地の目が狂ったものは狂っていることを計算に入れて補正する感性が求められます。感性とは、既製服の仕上がりイメージとバランスを崩さずに補正するにはどうすればいいかを考えるアイデアであり、テクニックです。 |
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極端にいえば、地の目の狂いが素材の持つ雰囲気を作り出し、全体のバランスを維持する要素になっていることも少なくありません。既製服を扱う場合、素材の知識はもとより、地の目についての認識を持ってフィッティング&ピンワークをしなければなりません。そのことは、素材の雰囲気や既製服のラインを崩さず、着る人のイメージと体型を考慮して帳尻を合わせることになり、もっとも重要な微調整を加味した補正につながります。補正によって手を加えることは、既製服を狂わせることです。だからこそ、既製服の補正は帳尻を合わせるための微調整が非常に重要です。 |
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既製服は丈によってイメージがこわれやいものです。
「たかが丈つめ」「されど丈つめ」なのです。 |
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見た目のデザインや素材の特性・物性だけでなく、デザイン上の「ゆとり」や素材の「遊び」(運動量)など、既製服を構成するすべての要素と、着る人のイメージや体型、好みなどの要素、両者の意思を反映したベストポイント(帳尻を合わせること)は、適切なフィッティングと適切なピンワークによってのみ見つけ出すことができます。そのためには、基本を学び、経験を積み重ねていくしかありません。技術は経験によって磨かれるのです。 |
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